とあるご縁で掛け算とか足し算のあたりの話を読む機会があり「そういえば定義なんだっけ...?」となり見返したものを整理した記事です。
しかし出来上がったのは、掛け算や足し算を定義する一歩手前の記事になってしまいました。なぜでしょう。
競プロでも、モノイドや剰余環は頻出なので、競プロ Tips ということに。遅延セグ木に登場する作用素のあたりをカバーしきれていないのはご愛敬。
=> 遅延セグ木に関しての記事はこちら(コードのみ)
演算の数 | ひとつ目の二項演算 | ふたつ目の二項演算 | 分配法則 | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
結合則 | 単位元の存在 | 逆元の存在 | 交換法則 | 結合則 | 単位元の存在 | 零元以外に対する逆元の存在 | 交換法則 | |||
マグマ | 1個 | ー | ー | ー | ー | |||||
半群 | 1個 | 〇 | ー | ー | ー | |||||
モノイド | 1個 | 〇 | 〇 | ー | ー | |||||
可換モノイド | 1個 | 〇 | 〇 | ー | 〇 | |||||
群 | 1個 | 〇 | 〇 | 〇 | ー | |||||
アーベル群(可換群) | 1個 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |||||
半環 | 2個 | 〇 | 〇 | ー | 〇 | 〇 | 〇 | ー | ー | 〇 |
環 | 2個 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ー | ー | 〇 |
可換環 | 2個 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ー | 〇 | 〇 |
斜体 | 2個 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ー | 〇 |
可換体(体) | 2個 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
こうして整理してみますと、半群と群の関係と、半環と環の関係って微妙に対応していなさそうですね。可換XXX系は、ある程度法則が成り立っているように見えます。
表中に表現できていないこととして、
- すべての二項演算は、代数的構造に紐づけられた集合の中に閉じています。
- 分配法則は以下を指します。
- ひとつ目の演算を
, ふたつ目の演算を
としたとき、
および
が成り立つこと。
- ひとつ目の演算を
あとは、分配法則が成り立つことから、ふたつ目の演算に関する零元が存在することと、それがひとつ目の演算に関する単位元と等しいことが示せます。